「東京高校受験主義」(東田高志氏が提唱する教育観や受験に関する考え方)は、首都圏の高校受験事情を深く分析し、現実的な視点から情報を発信していることで知られています。
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しかし、その主張やアプローチにはいくつかの弱点や矛盾点が指摘される可能性があります。以下に、客観的な視点から考えられる点を挙げます。
「東京高校受験主義」には首をかしげる部分もあることを力説したいと思います。
1. 受験至上主義の強化という矛盾
弱点・矛盾点:
東京高校受験主義は、現行の受験制度や学校システムの問題点を鋭く批判しつつも、その中で勝ち抜くための戦略や情報を提供しています。
しかし、これは受験競争そのものを是正するのではなく、むしろ受験至上主義をさらに助長する結果になり得ます。制度の欠陥を指摘しながら、その枠組み内で最適化を図るアプローチは、根本的な教育改革を求める声との間にギャップを生む可能性があります。
例: 内申点の不公平さや学校間格差を批判しつつも、「どうすれば高い内申点を取れるか」「どの学校が有利か」といった実践的アドバイスに終始することで、受験競争の激化に寄与している側面が否めません。
2. 地域限定性の限界
弱点:
東京高校受験主義はその名の通り、東京や首都圏に特化した視点が強いです。そのため、東京以外の地域(例えば地方や過疎地域)では受験事情や教育環境が大きく異なるにもかかわらず、その実情に適用しにくい内容が多いです。これにより、全国的な教育論としては視野が狭いと捉えられる可能性があります。
矛盾点:
教育の公平性を求める主張を掲げつつ、東京という特定の受験過熱地域に焦点を当てた議論に偏ることで、地方の生徒や保護者にとっては実用性が低く、結果として「一部の特権層向け」の情報発信に留まっている印象を与えるかもしれません。
3. 学力中下位層への配慮不足
弱点:
東京高校受験主義は、受験を成功させるための戦略に重点を置いており、高校選びや勉強法の提案が比較的学力上位層や中位層を意識したものになりがちです。
学力中下位層や受験勉強に苦しむ生徒への具体的な支援策が薄いとの批判が考えられます。
矛盾点: 例えば、私立高校が学力中下位層を切り捨てつつある現状を嘆きつつも、その層が公立高校でどう立ち直るか、どう学ぶモチベーションを見つけるかについての提案が不足している場合、単なる問題提起に終始しているように見えます。
4. 短期的な成果重視と長期的な教育観の不在
弱点:
受験を勝ち抜くためのテクニックやノウハウに注力するあまり、長期的な視点での「教育とは何か」「生徒の幸福とは何か」という哲学的・本質的な議論が後回しになりがちです。
矛盾点:
受験制度の過熱が子供の精神を圧迫していると指摘しながら、受験を勝ち抜くための効率的な方法を指南することで、子供たちにさらなるプレッシャーを与える側面を無視している可能性があります。受験成功がゴールではなく、その先の人生を見据えた視点を求める声に対しては物足りなさが残ります。
5. 現実主義が行き過ぎた悲観論に
弱点:
東京高校受験主義は現実的なデータや経験に基づく発信を強みとしていますが、それが時に過度な悲観論や諦念に繋がることがあります。
例えば、「定員割れの高校は底辺校になる」
「頑張っても報われない生徒がいる」
といった発言は、現実を直視する姿勢として評価される一方で、希望や改善の余地を示さない点で批判される可能性があります。
矛盾点:
教育者としての立場から生徒や保護者に警鐘を鳴らす一方で、過剰な現実主義が受験生やその家族に絶望感を与え、むしろ教育への意欲を削ぐ結果になりかねません。
結論
東京高校受験主義は、受験の現場を知り尽くした視点からの情報提供に価値がありますが、
そのアプローチは受験制度の枠組みを前提としたものであり、根本的な教育改革や多様な生徒への対応には限界があります。
また、東京という特殊な環境に依存した議論であるため、普遍性に欠ける側面も見られます。
必要以上に都立高校を優れていると宣伝していることも気になります。
そこで都立高校のマイナスの部分についてまとめてみました。
都立高校の欠点は
都立高校の欠点について考える際、東京の公立高校特有の状況やシステムに焦点を当てて分析します。
以下に、主な欠点を挙げ、その背景や具体例を交えて説明してみます。
受験競争の過熱と内申点依存
欠点:
都立高校の入試では、内申点(中学校の成績)が合否に大きく影響します。
特に人気校では高い内申点が求められ、学力試験の点数だけでは逆転が難しい場合があります。
これにより、中学1年生からの成績管理が過剰に重視され、生徒や保護者にプレッシャーを与えます。
具体例:
内申点が低い生徒が優秀な学力を持っていても、トップ校(日比谷、西など)に合格するのは困難。
また、教員の主観による評価のバラつきが不公平感を生むこともあります。
学校間格差の拡大
欠点:
都立高校には伝統校や進学校(日比谷、戸山、西など)と、いわゆる「定員割れ校」や進学実績が低い学校が存在し、学校間の教育水準や環境に大きな差があります。
この格差は、生徒の居住地や経済状況によって進学先が限定されやすく、教育機会の不平等を助長します。
具体例: 進学校では難関大学への進学サポートが充実している一方、進学実績の低い学校では進路指導が手薄で、生徒の将来の選択肢が狭まる傾向があります。
私立高校との競争による空洞化
欠点:
私立高校の台頭や補助金制度の拡充により、学力上位層や中堅層が私立に流れる傾向が強まっています。
これにより、都立高校の中堅校や下位校では定員割れが頻発し、教育資源が十分に活用されない状況が生じています。
具体例: 2020年代に入り、私立高校の授業料実質無償化が進んだことで、都立高校の志願者が減少し、特に中堅校の魅力が低下しているとの指摘があります。
施設や設備の老朽化
欠点:
都立高校の多くは歴史が長く、校舎や設備が老朽化しているケースが少なくありません。私立高校が新しい施設やICT環境を積極的に導入する中、都立高校は予算制約から更新が遅れ、教育環境の質で劣る場合があります。
具体例: 一部の都立高校では空調設備が不十分だったり、実験器具やパソコンが古いまま使われていることがあり、現代的な教育ニーズに対応しきれていません。
自由度の低さと画一的な教育
欠点:
都立高校は公立ゆえにカリキュラムやルールが比較的画一的で、私立のような特色ある教育(国際バカロレアや独自のコース設定)が少ないです。
また、校則が厳しい学校もあり、生徒の個性や自主性を抑えるとの批判があります。
具体例:
一部の都立高校では制服や頭髪に関する規則が厳格で、時代にそぐわないと感じる生徒や保護者もいます。対照的に、私立では多様な教育プログラムを提供する学校が増えています。
教員の質のバラつき
欠点:
都立高校の教員は公務員として配置されるため、異動が多く、学校ごとの教育理念や生徒への対応に一貫性が欠ける場合があります。
また、熱心な教員もいれば、モチベーションが低い教員も混在しており、指導力に差が生じやすいです。
具体例:
進学校では受験指導に長けた教員が揃っている一方、下位校では教員の意欲やスキルが不足し、学力向上に繋がりにくいとの声が聞かれます。
進学実績への過剰な焦点
欠点:
特に上位校では大学進学実績が重視され、受験勉強に偏った教育が行われる傾向があります。
これにより、学問の本質や生徒の興味よりも「偏差値」や「合格者数」が優先され、バランスの取れた教育が損なわれることがあります。
具体例: 日比谷高校などの進学校では、東大合格者数を増やすための詰め込み教育が行われ、部活動や人間形成が二の次になるケースが指摘されています。
結論
都立高校の欠点は、内申点依存や学校間格差、私立との競争、施設の老朽化、画一性など多岐にわたります。
中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ という本が話題になっています。
実にいろいろな意見や考え方があります。
各家庭の状況や子どもの特性などを考慮してみてください。
Xで話題で支持を集めている「東京高校受験主義」(東田高志氏が提唱する教育観や受験に関する考え方)
は、同意する部分が多いですが「えっ???」と思うこともあります。
安易にブームに流されるないことが必要だと思います。
